春におすすめの英語絵本| ピーターラビット人気のひみつ♩
「春におすすめの英語絵本」を以下の記事でご紹介しました。

ピーターラビット人気のひみつ
魅力その1「洗練されたポターの文章」
ビアトリクス・ポターの文章は、3つのものに影響を受けていると言われています。
ビアトリクス・ポターが影響を受けた文章
- 聖書
- シェイクスピア
- ナーサリーライム(イギリスのわらべうた)
英文学者の吉田新一氏はポターの文章について以下のように述べています。
それにしても、ポターの文章はなんと簡潔で、印象深く書けているのであろう、第一級の文学が童話の中にあって、と私は驚いたり感激したりした(吉田1994、pp.196-197)。
魅力その2「大きさ」
ピーターラビットの絵本は、一般的な絵本と比べてもかなり小さく、子どもの手におさまる大きさです。

また、このサイズは、ポター自身が普段から使っていたスケッチブックのサイズとほぼ同じと言われています。
この大きさだと、「ピーターラビット」のお話の良さが半減しているように感じます、、、
魅力その3「値段」
ポターは、次のように言っています。
「小さいうさぎさんたち(子どもたちのこと)は一冊六シリングもする本ですと買えませんから、けっきょく買いませんね。私は六シリングの本を一冊作るより、一冊一シリングの本を二、三冊作りたいのです」(吉田1994、p3)

子どもたちのことを考えて、子どもたちでも手に入る値段でピーターラビットの絵本を販売したポター。
だからこそ、子どもたちに人気が出て、広まったのでしょう。
魅力その4「イラスト」
ピーターラビットのお話は知らなくても、ピーターラビットの絵が描かれたお皿やお人形は知っているという人もいるかもしれませんね。
「イラスト」だけが一人歩きしてしまったような印象もありますが、、、何と言ってもポターの最大の魅力は、「イラスト」でしょう。
幼い頃から動植物を愛し、ずっと観察し、描き続けてきたポター。
鋭い洞察力と執拗なまでに観察し続け、こだわり抜いた彼女にしか描き出せない世界です。
ポターの絵には必ずモデルとなる動物、人物、場所があります。ポター自身も、「私は想像では描けない」と言っている通りです。
参考本
写真が多くあり、とても分かりやすいピーターラビットの入門書です。
魅力その4「ストーリー」
子どもだけでなく、大人にとっても面白いストーリー
イギリスでは、「子どもにも大人にも受け入れられる絵本の人気が高まる」と言います。
ピーターラビットは、親から子へ、子から孫へと四世代に渡って読み継がれています。
児童文学者の斎藤惇夫氏の講演会で、「ピーターラビットの絵本はイギリスのどの家の本棚にも大抵置いてある」と聞いたことがあります。
つまり、ピーターラビットは、「大人」にも「子ども」にも受け入れられる「ストーリー」だということです。

いわゆるハッピーな物語ではない!
例えば、「ピーターラビットのおはなし」というお話では、「ピーターの父親は農夫に殺されてしまった」ということが、さらっと書かれています。
息子のような怖がりの子どもであれば、
と言って耳を塞ぎたくなるかもしれません。
でも、よくよく考えてみると、作物を荒らす害虫である「うさぎ」が農夫に捕まって殺されるというのは、この地上ではよくある出来事の1つでしょう。
ピーターラビットのお話は、「怖いこと」が一切起こらない、いわゆるずっと「ハッピー」な物語ではないのです。

「人間の賢さ・愚かさ」を描くポター
ポターは冷静に、動植物を見つめ続けたばかりではなく、「人間社会」についても見つめてきました。
ピーターラビットの主人公は、「動物たち」。
ですが、彼らは、人間のように二本足で立ち、人間であったらこんな風に振る舞うであろう振る舞いをし、ことばを話します。
ピーターラビットの登場人物は、実は「人間たち」なのです。
ポターは、ピーターラビットのお話を通して、「人間の賢さ・愚かさ」をユーモアや少しの批判を込めて描きました。
ドキドキ・ワクワクの「冒険物語」!
また、「ホビット」や「指輪物語」を書いたトールキンは、ピーターラビットを教訓的な「動物寓話」に分類しています。
「動物寓話」とは、「イソップ寓話」に代表されるように、「だから、〜すべき(すべきでない)」と子どもに教えることを目的とした物語です。
しかし、「ものいうウサギとヒキガエル」の猪熊氏は「いたずら子ウサギの冒険物語」であると述べています。
彼女(ポター)の作品にみられる教訓的と思われがちな要素は、ほとんどの場合物語の当然の帰結として生じるものであって、作者が子どもに教えようと思って意図的につけ加えたものではない(猪熊1992、p.70)。
魅力その5 イメージ通りの「完璧な世界」
「絵」も「文」も最高のものをかける、ポター
素晴らしい「文章」が描けても、「絵」は描けない、という作家は多いでしょう。
例えば、「おやすみなさいおつきさま」で日本でも有名なマーガレット・ワイズ・ブラウン。
彼女は有名な一流の絵本作家ですが、絵は描けません。
そのため、彼女のイメージ通りの絵を描ける絵描きと出会わなければ、彼女がイメージしている通りの作品を完璧に表現することはできません。
しかし、ポターは、「絵」も「文」もかけるのです。しかも、どちらも最高のものを。
全てを自分のイメージした通りの完璧な世界を作り出すことができるからこそ、「ピーターッラビット」のお話は、完璧なのです。

「絵」と「文」必ずセットで楽しむこと!
「絵」も「文」もかけるポターだからこそ、「文」と「絵」が別のことを物語っている時があります。
例えば、「ジンジャーとピクルズや」のおはなしから。
いま、ジンジャーは、うさぎの森にすんでいます。そこでどんなしごとをやっているのか、わたしはしりません。
でも、でっぷりふとって、たいへんげんきそうです。
とポターは書いていますが、「絵」を見ると、ジンジャーがどんな仕事をしているかが一目瞭然なのです。
「絵」と「文」セットで楽しむこと。ポターの面白さを理解するには、決してこのことを忘れてはいけません。

児童文学論を書いたリリアン・スミスも以下のようにポターを評価しています。
小さな動物たちを描いたかの女のストーリーと絵とは、何度も模倣されたが、かの女以上に出た作家は、ひとりもいない(スミス2017、p.241)。
ポターを超える絵本作家は果たしてこれから出てくるのか、、、
ピーターラビット”Peter Rabbit”の購入方法
日本語版
・アマゾンや楽天、ヤフー(下記)
・福音館
英語版
・アマゾンや楽天、ヤフー(下記)
送料込みでも日本で買うより安い場合もあります。
例えば、2019年2月23日時点では以下の値段で販売されていました。
「円」決済

「ドル」決済

「円」決済を選ぶと、その金額が請求されます。「ドル」決済を選ぶと、クレジットカード会社が「円」に変換し、手数料を取ります。
どちらが安いかは何とも言えません。
