早期英語教育 賛成派 vs 反対派
やった方が良い vs やらない方が良い
賛成派
- 発音が良くなる。
- 頭ではなく、感覚で学ぶことができる。
- 母語と同じように、苦労せずに、自然と習得する。
- 英語に対するアレルギーが起きない。
反対派
- 日本語の土台がない状態で英語を覚えると、偏差値が低くなる
- 日本人がノーベル化学賞を取れたのは、日本語だけで学び、深く思考する力をつけたからこそだ!
- 母語の習得が脅かされると、ダブルリミテッド(セミリンガル )になる危険性がある。
- 学習言語を獲得できず、9歳の壁を超えられず、学校の授業についていけなくなる。
コロ助は、胎教から英語の歌をサスケ(息子)に聴かせ、6か月の時からサスケに英語で話しかけるようにしたので、「早期英語教育」賛成派になります。
反対派の意見に対して反論していきたいと思います。今回は1つ目の反対派の意見に反論します。3回に分けて発信します。
早期英語教育 反対派の意見
日本語の土台がない状態で英語を覚えると、偏差値が低くなる
と言っています。
早すぎる英語教育は子どもの知能を遅らせる(「幸せ力」の育て方 Vol.4)
日本語の土台がない状態で英語を覚えると、偏差値が低くなる
上記の記事では、トロント大学の言語心理学者カミンズと日本語教育教授の中島和子氏の研究が紹介されています。
その研究によると、3〜6歳、7〜9歳、10〜12歳に日本からカナダに移住した子どもたちを調べた結果、最も早い2年半で、現地の子どもたちレベルの「英語読解能力」を身につけたのは、7〜9歳のグループ。
英語読解能力の達成度が最も高かったのは、10〜12歳に移住したグループで、3グループの中で、全ての教科で最も良い成績をおさめたそうです。
すなわち、日本語の読み書きの基本をしっかり身につけ、さらに学校で各教科を学習してから移住した子どものほうが、高い英語読解力、そして、英語による教科学習で良い成績をおさめることができると主張しています。
この立場からすれば、
と主張していることになります。
「ちょっと待った!」コロ助の反論
10歳になったからといって、英語圏への移住や、日本で英語漬けの環境を用意してあげられない!
上記の例は、日本からカナダという「英語環境」へ移住するケースでの研究結果になります。
10〜12歳になったら、「英語漬け」の環境を用意しないと上記の状況は成立しません。
子どものためにだけは難しいでしょう。
または、家族は日本に残り、子どもを一人で英語圏の寮などに入れればできるかと思いますが、コロ助はその選択肢は考えていません。
ちょうど思春期を迎える我が子。大変な時期を親として、たとえののしられても、側で見守ってあげたいと思います。
日本で英語漬けとなるのは、インターナショナルスクールへの入学。これも選択肢の一つではありますが、教育費としてかかる費用は莫大になります。
そして、ネイティブの子と同じレベルの読解力を得るためには、少なくとも4,5年かかります(中島1998, p.171)。
10〜12歳になった時に、4、5年間の「英語漬けの環境」を用意してあげられないのであれば、上記のような、日本語学習の後に、英語学習をし、高い英語読解力や英語を使った教科授業で良い成績をおさめることは難しいと言えます。
つまり、
というのが、コロ助の反論です。
英語圏に移住するのと、日本で母語を大切にしながら、英語を取り入れるのでは、全く状況が違う!
英語圏に移住するケースと、日本にいながら、親子英語、バイリンガル育児を取り入れるケースでは、全く状況が異なります。
カナダへ移住するケース
3~6歳、7~9歳で日本からカナダへ移った子どもたちは、日本語での「読み書き」を学ぶ前に、或いは、学んでいる途中に、全く別の言語を使う環境へとやってきたことになります。
カナダでは、学校、友人、地域などの取り巻く環境全てにおいて「英語」が使われています。学校の授業で使われる言語ももちろん英語です。
9歳以下の子どもたちは、日本語での読み書きが中途半端な状態で移住し、新たな言語である英語で突如学び始めたために、最終的な学力が10〜12歳で移住したグループ程到達しませんでした。
10〜12歳の子たちは、日本語での読み書きができる状態でカナダへ移住しました。少なくとも1言語で読み書きできる子は、他の言語でも読み書きができると言います。
そのため、時間はかかっても最終的には英語での読み書きレベルが3グループの中で最も高くなり、良い成績をおさめることにつながりました。
日本での早期英語教育のケース
しかし、日本で早期英語教育を始めても、日本社会で使われているのは間違い無く「日本語」です。保育園、幼稚園、学校、地域で日本語が使われています。
英語によって日本語の習得が脅かされることはありません。日本社会で使われている言語、そして最も力のある言語が「日本語」だからです。
(乳幼児期から家でも外でも英語漬けにしない限り)日本で生活している場合は、乳幼児期から英語を取り入れたとしても、「日本語の習得」、「読み書きの学習」を滞りなくすることができます。
早期英語教育を受けている息子の例
サスケ(息子)は、3~4歳は一時ダブルリミテッドの状況に陥りました。2言語以上を習得している幼児にはよくありえる現象です。
しかし、日本の幼稚園に転園したことで、心配された日本語の習得が軌道に乗りました。
そして、年長の時には、こども園に転園しましたが、担任の先生や幼稚園の友人には2言語で育てていることを一切話しませんでした。
けれども、「サスケ君のことば何ですけど〜」と、誰からも何も指摘されたことはありません。サスケの日本語が順調である証拠です。
また、現在は、小学校1年生ですが、学校の授業には問題なくついていっています。
初めてもらった1学期の通知表には、教科に関する成績は全て「良好」にチェックが入っており、唯一、「支度の準備ができる」のところに、「がんばりましょう」のチェックが入っていました。
小学校の担任の先生にも、サスケの日本語や勉強について問題ありと言われたことはありません。
つまり、早期英語教育をしたからといって、「偏差値が低くなる」「頭が悪くなる」とは言えない。
多言語国家の多言語話者だって、、、
世界に多く存在している多言語国家では、常に複数の言語が存在しています。
もちろんそんなことはありません。
幼い頃から複数の言語に触れて、バイリンガル、トリリンガルになり、更にはそれ以上話せる人も世界にはたくさんいます。
まとめ
- 10歳になったからといって、英語圏への移住や、日本で英語漬けの環境を用意してあげられない!
- 英語圏に移住するのと、日本で母語を大切にしながら、英語を取り入れるのでは、全く状況が違う!
- 多言語国家の多言語話者だって、、、
日本で親子英語、バイリンガル育児によって早期英語教育を始めたとしても、「日本語の土台がない状態で英語を覚えると、偏差値が低くなる」には当てはまらない。
なぜならば、日本語を使って生活し、日本の学校へ通いながら、日本語の読解力を養うことができるからである。
参考文献 中島和子 2016 完全改訂版 バイリンガル教育の方法 アルク
